ススムくんの太陽系探検隊
金星ってどんな星?

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金星(きんせい)は「地球(ちきゅう)になれなかった星」「ふたご惑星(わくせい)」ともよばれています。それは、地球とおなじくらいの大きさで、太陽からの距離(きょり)も似ていて、金星が地球のすぐ内側(うちがわ)をまわっているからです。しかし、金星と地球はまったくちがう惑星です。金星がどんな惑星なのか、見てみましょう。

金星ってどんな惑星?

金星のとくちょう

金星

金星の地表はものすごく温度が高くて、470℃もあります。大きさは地球より少し小さいくらいです。太陽が1mの模型(もけい)だとすると、地球は豆電球(まめでんきゅう)、金星はビー玉くらいのちがいです。

太陽からの距離も似ています。
1億820万kmという距離は、ジェット機で3606時間(150日)かかります。

金星 恐竜(きょうりゅう)が住んでいると考えた研究者(けんきゅうしゃ) もいましたが、地球と大きくちがったのは、金星には水がないということでした。

金星はからからにかわいているのです。

地球と金星のちがい

金星の火山

金星には火山がたくさんあります。火山とは、岩石がとけて液体になったマグマが地表に噴出(ふんしゅつ)することをいいます。

金星の大気(たいき)は、二酸化炭素(にさんかたんそ)96.5%、窒素(ちっそ)3.5%、そのほか0.1%です。二酸化炭素は熱をためこむ性質があり、「温室効果(おんしつこうか) 」によって、太陽の熱が金星の外に逃げずに大気にためこまれているため、地表の温度が470℃もあるんですね。

また、金星の大気圧(たいきあつ)は90気圧です。これは海に900mもぐったときの気圧で、地球の90倍もあるので人間が金星に行ったらおしつぶされてしまいます。それでも、昔は金星にも水がありました。太陽から光をたくさんあびて、地表が熱く(あつく)なり、海が蒸発(じょうはつ)し、分解(ぶんかい)されてなくなってしまったのです。

金星が地球になれなかったわけ

金星の自転(じてん)はものすごくゆっくりしていて、243日もかけて1回転します。金星が太陽のまわりを1周しても、金星じたいは1回転しないくらいです。金星は、地球とは逆方向(ぎゃくほうこう)に回転するので、太陽は西から昇って東へ沈みます。

金星の自転はゆっくりですが、金星の大気は、金星よりも速く(はやく)金星のまわりを回っています。なんとたったの4日で金星を1周しています。金星の自転より雲のほうが60倍も速いのです。金星の雲は濃硫酸(のうりゅうさん)の液体(えきたい)のつぶからできています。硫酸は人間のほねもとかしてしまう液体です。これではとても人間がすむことはできません。

金星のデータ

  • 金星の半径(はんけい):6052km(地球の0.72倍の大きさ)
  • 金星の質量(しつりょう):地球1に対し、0.815
  • 金星の地表の温度(おんど):475℃
  • 金星の気圧(きあつ):90気圧
  • 太陽(たいよう)から金星までの距離(きょり):1億820万km
  • 金星の公転周期(こうてんしゅうき):225日
  • 金星の自転周期(じてんしゅうき):243日
  • 金星の衛星(えいせい):なし
  • 金星の環(わ):なし

金星の見つけかたって?

金星

金星は、夕方の西の空か、明け方の東の空に見ることができます。夕方に見える金星を「宵の明星(よいのみょうじょう)」、明け方に見える金星を「明けの明星(あけのみょうじょう)」といいます。

天体望遠鏡(てんたいぼうえんきょう)で見ると、月のように満ち欠けしているのがわかります。金星の雲が、太陽の光をはねかえすので、金星が金色にかがやいて見えます。夕方の西の空や、明け方の東の空で-4等星くらいの明るさでかがやいているのが金星です。

金星にまつわる神話って?

金星は、英語で「ビーナス(アフロディーテ)」といいます。ビーナスは、ローマ神話では愛と美の女神の名前です。ピュタゴラスによって名づけられました。金星がとても美しく明るくかがやくことから名づけられたのでしょう。

ビーナスは火星(マーズ)の由来であるマルスの恋人と言われています。また、金星の地名には、メティス、ディオーネ、アルテミスといった女神の名前が数多くつけられているんですよ。

金星探査機(たんさき)マゼラン号ってどんなもの?

マゼラン号

1989年に、マゼラン号によって、はじめて金星の地面のようすが明らかになりました。上空1.6kmのところからレーダーで雲をつきぬけるレーダーを送り、金星の地形をしらべました。

マゼラン号は、1994年まで、金星の重力や大気などの調査(ちょうさ)を行って、データを地球(ちきゅう)に送り続けました。げんざいもアメリカ、ロシア(旧ソビエト連邦)、ヨーロッパなどでたくさんの探査機が金星へ送りこまれました。2008年には、プラネットC計画といって金星の大気の成分をくわしく調べる予定です。この計画(けいかく)によって、金星のなぞがとけるかもしれませんね。

金星探査機(たんさき)あかつきってどんなもの?

2010年5月、日本は、金星の大気のしくみを調査するため、金星探査機(たんさき)プラネットC(シー)「あかつき」を打ち上げました。

同年12月には金星に到着(とうちゃく)して、金星のまわりをとびながらカメラで撮影(さつえい)し、大気の構造(こうぞう)を調査する予定でした。しかし、主エンジンが原因不明による不具合(ふぐあい)のため、金星のまわりに入り込むためのブレーキ動作が途中で停止してしまいました。あかつきは、スピードオーバーでそのまま金星を通りすぎてしまい、金星周回軌道(しゅうかいきどう)に入ることができなくなりました。

あかつきはその後、金星と地球のあいだに入り、しばらくは太陽を周る軌道を飛んでいましたが、数回におよぶ軌道修正(きどうしゅうせい)の末に、ふたたび金星へ近づき、2015年12月7日、ようやく金星周回軌道(しゅうかいきどう)への再投入(さいとうにゅう)に成功したのです。

実に5年ごしの成功となり、世界中から祝福(しゅくふく)されました。

もともと、2011年に飛行するはずだった金星周回軌道(しゅうかいきどう)よりも、ずっと広い「だ円」をえがきながら飛ぶことにはなってしまいましたが、大気の構造(こうぞう)を撮影するカメラも、故障(こしょう)がなくぶじということもあり、2017年1月現在も、元気に金星の周りをまわって、お仕事を続けています。

ちなみに、あかつきがいちばん最初に、金星周回軌道(しゅうかいきどう)に入るのにしっぱいした日が「2010年12月7日」です。そして、金星周回軌道(しゅうかいきどう)に入るのに成功した日が、なんとしっぱいした日と同じ「2015年12月7日」なのです。とんだ奇遇(きぐう)ですね。

金星探査機(たんさき)あかつきが見たもの

あかつきが金星周回軌道(しゅうかいきどう)に入ってからは、ながらく使わないまま温存(おんぞん)していた、金星撮影用カメラの動作(どうさ)チェックをおこなうため、何まいも写真をさつえいしました。

あかつきは、人間が目で見える「可視光(かしこう)」カメラではなく、赤外線(せきがいせん)カメラや、紫外線(しがいせん)カメラなどをのせています。

このカメラを使えば、金星の雲や、大気の分布(ぶんぷ)を観察したり、金星が紫外線(しがいせん)をさえぎることが出来る理由はなぜなのかを調査できます。

そのとき、撮影した写真の中に、南北に走る縦(たて)の「弓状(ゆみじょう)」のふしぎなかたちをした雲を見つけたのです。

もともと金星は、人間の目で見ると、金星の自転と水平の方向に、「スーパーローテーション」というつよい風が吹いています。スーパーローテーションの風は、地球にくらべてかなりの強風で、まよこに吹くはずの風が、たてじまもようにかわるなど、だれも想像(そうぞう)していませんでした。

この写真をしらべていた結果が、つい最近判明(はんめい)しました。金星には大きな大陸(たいりく)があって、雲の流れをさえぎり、大気の強いゆらぎ(重力波(じゅうりょくは))をおこしていたというのです。

これは、今まで外国が打ち上げた金星探査機(たんさき)では、しらべきれなかった新しい情報(じょうほう)です。この結果をもとに、研究チームは、海外の研究論文雑誌(けんきゅうろんぶんざっし)「Nature Geoscience(ネイチャー・ジオサイエンス)」で、研究結果(けんきゅうけっか)を発表する予定とのことです。

※関連リンク:JAXA宇宙科学研究所 研究成果トピックス
2017年1月17日
金星の巨大な弓状模様の成因を解明 ― 金星探査機「あかつき」の観測を数値シミュレーションで解析 ―
http://www.isas.jaxa.jp/topics/000826.html

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